Schuco 1/43 BMW 5series Gran Turismo 2009

今回は、5シリーズGTです。

独特なプロポーションのこのクルマ。

数値を確認してみると5000×1900×1565mmだそうで、やはり独特なディメンションです。最初は不思議な車だと思っていましたが、最近になってから結構かっこよさもあるなぁと思い始めました。特にこのくらいの径のホイールが似合います。

ミニカーはシュコー製で、このカラーはBMW特注品としてモデル化されています。この頃に製品化されたシュコーのダイキャストモデルは、非常に情報量が多いモデルが多いです。この5シリーズGTも、非常にその時代のシュコーらしい作風です。

この車の特徴である大きなサイドウィンドウは歪みのない美しい成形で、ガラスサンルーフからの光も入り、窓が閉じていますが内装がよく見えます。シャープな造形のダッシュボードは、塗分けも正確です。ウッドパネルの艶など、質感も正確です。

シートの塗装は、しっとりと滑らかな質感がリアルです。拡大すると粗目の艶消し塗装のような仕上げになっているようです。

1/43スケールのサイズでありながら綺麗にピラー部に沿っているピラー内張りにはシートベルトが!

内装はBピラーのみならず、C/Dピラーや天井まで綺麗に仕上げられています。Aピラーが細めなのは当時ぼシュコーの作風だと思いますが、もう少し太くても良い気がします。

 

大きな窓からのぞく内装の出来の良さに気を取られてしまいましたが、外装もそれに見合う良い仕上げです。

フロントマスクで目を引くのは、奥まで抜けているキドニーグリル。縦のルーバーやグリルの外枠は十分に細く、非常にスケール感が高い仕上がりです。1/43の細かい部品ながら、これだけ拡大しても粗が見えません。そしてその奥にはラジエーターのような銀色の縞々が。これが光の当たり具合でチラッとキラッとするのが、実物を手に取った時に非常に良い雰囲気を醸し出します。

また、ヘッドライトの内部構造もくっきりと見えることで表情を引き締めています。ライトウォッシャーがモールドではなく印刷なのも良い表現だと思います。ライトウォッシャーの分割線はドアとかと違って閉じた分割線のはずなので、モールドだとオーバースケールな気がするんですよね。

リアビューも非常に完成度が高いです。テールランプ内部も立体的で、特にLEDウインカー部のつぶつぶ感が良い雰囲気です。

リアゲート下部のパネルは別部品で、ナンバープレート上やリアバンパー上などの凹部もメリハリある造形です。バンパーの反射板もクリアパーツ!

ホイールの造形も良いですね。外観の立体感はもちろんのこと、スポーク裏はキャリパーの逃げのような造形になっていて実車の雰囲気が感じられます。

 

このモデルはボンネット開閉ギミックも備えています。閉じた状態でも隙間やズレがなく素晴らしいです。また、ボンネットはプラスチック製ですが、ダイキャストのボディとの色合わせも非常にレベルが高いです。

ヒンジ部は比較的細く作られていて見栄えが良いです。プラスチックの柔軟性を活かして開閉操作にほどよい節度感が与えられているため、何度も開閉したくなる上質な感触です。

エンジンルーム内も見ごたえのある雰囲気です。1/43では表面の形状のみを彫刻した一枚板での再現で済ませるモデルもありますが、このミニカーはエンジンが別部品で載せられているのかと思わせるほどの雰囲気があります。どのような部品構成なのかは分かりませんが、エンジン周囲の隙間の奥行きはかなり深いです。また、補強のバーのようなものも下側は抜けていて立体的。エンジンカバーに輝くBMWの文字が映えるエンジンルームです。

シャシーもエンジンルーム同様、複数のパーツが組み合わせられた立体的な仕上がりです。サスペンションのアームがホイール内まで伸びていたり、マフラー、遮熱板、プロペラシャフトという上下の位置関係が正確に再現されていたりと、とても見ごたえがある細かい造形です。台座から外さず楽しむ方々も多い製品ですが、このこだわりようは感心します。台座から外さないのはもったいない。

このミニカーのシャシー再現へのこだわりは、台座と車体を安定して固定するためのスペーサーからも感じられます。

比較用に、手元にあったメルセデスGLKのスペーサーを並べました。写真左が5シリーズGT、右がGLKです。

これまで入手したシュコーのモデルの多くは、GLKの様に前側に四角、後ろ側に丸の突起があり、これをシャシー側の四角と丸の凹に合わせる構造でした。しかし今回の5シリーズGTには四角も丸も設けず、シャシー側のセンタートンネル等の形状にフィットさせて固定するデザインになっています。これにより、台座固定に伴うシャシー側の造形への影響が最小限となっています。やはり眺めていても、マフラーが途中でぶった切られることなく前方から繋がっているのは美しいです。

 

シュコーの5シリーズGTは、5シリーズGTの車体の大きさや窓の大きさといった特徴に、当時のシュコーの作風が非常によくマッチしたことで生まれた名作だと思います。この時代のシュコーをもっと集めたい・・・